僕らは今日死んだので、これから先は天国です
世界中の誰が、僕のためにこの柵を超えてくれるというのだろう?

「死」も「病気の日々」も、ずっとずっと怖かった。

だから、今日死んだと思えば、もう死を怖がらなくていいだろうか?

だって、天国で死を恐れている人なんていないだろう?

「ねぇ、瑞樹。きっと天国は楽しんだ者勝ちよ」

一葉はそう言った後、「よし!」と手を叩いた。

「さ、瑞樹の好きなことを教えて!今からでも遊びに行こう!」

「今から……!?」

「当たり前でしょ!楽しい時間は少しでも多い方がいいんだから!」

一葉が僕の腕を掴んで、歩き始める。

景色に目を向けても、太陽はまだ沈み始めない。
 
まだまだしたいことをする時間は沢山あると言ってくれているようだった。
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