僕らは今日死んだので、これから先は天国です
「本当だよ。じゃなきゃ、あの場所に行かない」

僕は、一葉の涙を手で拭う。

「一葉、泣かないで。ほら、いつもみたいに笑ってよ。僕ら、もう死んでるんでしょ?今更、怖がることなんて何もないんだよ」

一葉の涙は止まらない。

「嫌だ……!瑞樹……!」

「ねぇ、一葉。聞いて」

僕を一葉の顔を両手で包み込み、僕と目を合わせさせる。

「あの日、僕は本当に死ぬつもりだった。でも、一葉が僕を止めて、この世界を天国に変えた。天国に変わったこの世界は、僕が思っていたよりずっとずっと楽しかった。一葉がいたからだよ。一葉がいたから、僕はこの世界を楽しめるんだ。一葉がいたから、好きなことを好きなだけするようになった。好きな服を着て、やりたいことをして、大好きな人達に素直に気持ちを伝えられるんだ」

ごめんね、一葉。

それでも、「好き」は伝えられない。

残される者にその言葉を言う勇気が僕にはない。

一葉には、幸せになって欲しい。
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