たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
(魔女が愛した男の人の,その後の話だけが書かれていないのは,どうしてなんだろう。どうして魔女は)
「どんなに怒っていても,焼いたのは森の植物だけ。魔女が一体,人間に何をしたの? 村まで焼いて。魔女の魔法はまるで,まるで」
(魔力が強くて,エルさんに本当の魔法を教わっただけの)
私みたい。
私を育てた,とても優しい,私の師匠みたい。
初めて魔女の絵本に感情移入をした。
だけど,何故かその感情は魔女に向いたもの。
「今だって,私達は魔女に襲われたことなど1度もないのに。予告があるわけでもないのに。どうして私達は魔女を倒す準備をしているの?」
(何のために,腕を磨くの?)