たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「じゃあ,どうする?」
「エルさんさえ良ければ,さっそく教えてもらいたいの。本当は少し見て欲しいって言いたいけど,やっぱりエルさんの使い方は私と違うみたいだから」
「素直なのは良いことよ。じゃあ,座学から入りましょうか」
私がそう言うと,エヴィーは分かりやすくきょとんとした。
「……エヴィー。もしかして,学校には通ってないの?」
まるで初めて聞く単語であるかのような表情に,エヴィーを上から下まで見る。
どう見てもまだ学生の年。
身なりも態度も,お金に困っているようには見えない。
けれど通っているのであれば,こんなところに毎日通うなど言えないはずで。
(どんな低レベルな学校も,必ず3分の1は出席しなくてはいけないはずで1年も休学することは不可能)
と言うことは。
そう巡らせたけれど,辿り着く前にもたらされたエヴィーの答えは,私の予想を大きく反するものだった。
「え? 一応在籍はしてるよ? 帝立魔法高等学校に。確かに,登校はわけあって免除されてるけど……
でもエルさん,そうじゃなくて,魔法で座学なんて聞いたことない」
まるで異国の者でも見るかの様な視線に,私は唇を噛んだ。
(その,国1番のエリート学校なら,絶対に……)