たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
17……くらいだろうか。
黒と白でデザインされたフード付きの外套に,枝が引っ掛かってしまっていたよう。
「わあっ……すごい! 家?! 綺麗なところ~!!! お姉さんが住んでるんですか?!」
迷子。
その表現が適切であろう,天真爛漫な瞳が真っ直ぐ私を捉える。
普段相手にしている人間との格差に,殺すのを躊躇してしまった。
その場の空気を一人で拐うその子に,私は意図せず動きを封じられる。
「ん? あれ……なんだろう」
首が自身の目線を追って回っていく。
(別に見られても構わないけど)
私は
「ねぇ,上を見て? いいものを見せてあげる」
左手で炎を発現させ,結晶死体の氷を溶かしきったあと,死体をスピーディーに火葬した。
同時に残った右手を後ろに回し,細々とした部品をポコポコ発現させ,時に混ぜ合わせ,全てを空中で一纏めにしていく。
「?」
(よし,出来た……!)
目線を下ろそうと我慢の切れる丁度そのタイミングで,出来上がった玉を高く飛ばし。
私は1点を狙って小さな火の玉をぶつけた。