たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~

日常の変化。





「う"……がぁあぁああぁあ!!!!! ……うあ?」

ーピキンッッ



朝から小雨の降る,視界の悪い中。

木陰から飛び道具を使った刺客がいた。

畑の水やりは気にせずとも,こういうのがいるからおちおち寝ていられない。

仕方なく発現させた手のひらサイズの鉄の板で弾き飛ばし,同じく相手と同じ形の鉄を2つお見舞いしてやる。

そして痛みが長引く前にと,最後の善意で全身を凍らせた。

これでまた,結晶死体の出来上がり。

あとは出来立てホヤホヤの死体を蹴り飛ばしてバラバラに……

するところで,がさがさと無防備な音が響いた。

念のため死体と森から距離を取る。



(鹿? 兎? 熊? いいえ,これはどう考えても人間の音。何……? 罠……??)



潜伏のつもりなら,あまりにもお粗末だ。



「んーー,うぷっ」

「……」



目の前にぴょこっと現れた少女。

私はあまりにもお気楽な声に,戸惑った。
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