たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
エヴィーは白と黒でデザインされた外套のフードを手で押さえて,風の強い外へ飛び出していく。
(まったく,前も見ずに……)
意外にも転ぶ所を目にしたことはないけれど,とてもドジなエヴィーだから。
多少の呆れを含みつつその後ろ姿を見送った。
私は風の抵抗を受けながら,扉を閉める。
(景観に合わせて木造にしたけれど。そろそろ耐久性が心配ね)
なにせ素人の自己建築。
何とかロックまでかけて,私はまた元々座っていた椅子に腰かけた。
珈琲を注いで,本を開く。
(……~ーっ)
時計の音がやけに大きく耳に響いて,私は荒っぽく本を閉じた。
(もうっ~っ)
音を立てて外套を羽織り,翻す。
周りの安全もそこそこに,私はエヴィーの後を追った。
急げば中間地点で追い付いて,距離を保ったままその後をついて歩く。
エヴィーなりに急いではいるようで,いつもより歩調がすたすたと速いものになっていた。