追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる



 準備を終えて扉の前に辿り着くと、消えたくなった。だって……そこにいるジョーは、それはもう神々しいほどかっこよかったから。
 黒い燕尾服に白いタイを付け、そのブロンドヘアをセットしたジョーは、この世の者とは思えない輝きを放っていた。イケメンが着飾ったらこうなるのも事実だ。
 そして、侍女の「お綺麗」という言葉を間に受けてしまった自分を呪った。

 それなのにジョーは頬を染め、

「アン、綺麗だ」

嬉しそうに言う。そのまま抱きつこうとするから、慌てて身を避けた。

 ジョーに綺麗だなんて言われると、からかわれているとしか思えない。そして、私は完全な見せ物だろう。人々は私を哀れな女と嘲笑うのかもしれない。
 それなのにジョーが頬を染めて熱い目で私を見るから、目が離せなくなる。

 そんなに嬉しそうに笑わないで欲しい。それを見ると、見せ物でもいいかと思ってしまうほどだから。
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