追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる


 それからは、大忙しだった。

 ソフィアさんの使用している薬で、効果がありそうなものを選んで飲ませる。だが、その処方は王都としてはとても古いものだ。そして、内服薬だけでなくあらゆる手段で治療をする。

 足が動かない老人には、足のツボに薬用の灸を据えた。
 高熱の患者の額には、冷却効果のある湿布。そして、手足が動かなくなる合併症対策に、早期から手足の治療も開始する。
 比較的元気な人には、体力を増強するハーブと薬湯。
 私を信じていない患者たちだが、みんな私の指示を聞いてくれた。これも、ソフィアさんみたいに一人一人に寄り添ったからかもしれない。

 こんな私を、ソフィアさんは驚いたように見ていた。私の治療はきっと、ソフィアさんの思いもよらない方法なのだろう。王宮での当然が、ここでは当然ではないのだから。
 ソフィアさんは、私の治療に対して不信感すら覚えているかもしれない。それでも私を信じて味方をしてくれるソフィアさんの存在が、とても心強かった。


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