追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる

「でも……ジョーは騎士団長だから……貴族だから……」

 身分云々の話だけではなく、凄まじく価値観も違うだろう。現に、ジョーはこうやって私のために浪費しまくっている。
 
 ジョーは大量に買った袋やら箱やらを抱えて店を出る。ジョーはこんなにたくさん持っているのに、私は手ぶらだ。

「ジョー、私も持つから!」

 慌てて駆け寄るが、

「アンは黙って俺に甘えてろ」

ジョーはまた甘いことを言う。

「アンに荷物を持たせるなんて、出来るはずがない」

 ほら、こんなところも価値観が違うのだろう。ジョーは騎士という言葉がぴったりな紳士だから。
 おまけに、

「そこにいる男に、アンの家まで運んでもらおう」

 なんて言って、自分の部下である騎士に、私用を押し付けている。意外とタチが悪いのだ。


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