追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
騎士に荷物を押し付けて、ようやく手ぶらになったジョーは、
「少し話そうか」
私に告げ、不意にぎゅっと手を握った。それでまた、どぎまぎしてしまう私。
ジョーの大きい手にそっと包まれ、胸が甘く切なく鳴る。これ以上、私を虜にしないで欲しい。今がこうも幸せだと、この幸せが壊れた時に辛くなってしまうから。
だが、ジョーは私の手を握ったまま歩き、立派な塔のある建物に入っていく。扉の両隣には騎士が立っていて、ジョーを見ると頭を下げる。そして、すれ違う騎士たちも、ジョーを見て頭を下げた。
私はどういうわけかジョーと友達みたいな関係になってしまったが、本来ならば私が近付ける存在ではないのだろう。それをまざまざと見せつけられているようだった。
広大な中庭を通り抜け、大きな建物に入る。隣にある建物からは、剣の打ち合う音も響いていた。何となく察した、ここは騎士団本部なのだろう。
その建物の横を通り抜け、ジョーは螺旋階段を上がる。上を見ると果てしなく高いところまで階段が続いているようだ。