暗闇に差し込む一筋の光
「なあ、華恋。体調は大丈夫か?」
俺の問いかけに、一瞬だけ華恋のギターの弾く手が止まった。
だけど…
「大丈夫だよ。」
俺に心配かけないようにと俺に笑いかけた。
分かってる…
この笑顔は隠したいことがある時の笑顔。
この切ない表情は何度か見てきているけど胸が締め付けられる。
大体の人間は、大丈夫って聞かれたら大丈夫って答えるよな…
こんな様子だと、もうこれ以上触れない方がいいよな…
華恋は、昔から色んなことを聞こうと、心の中に踏み込もうとすればするほど心を閉ざしていく。
すると、ギターケースの上に置いてあった華恋のスマホの画面が光った。
「……ごめん。香椎先生から呼び出しされたから先に施設に戻るね。」
「話って、会議の時の…?」
「違うの。前から違う話で呼び出されてて…」
「そうか。じゃあ俺も帰ろうかな。」
それから、俺は華恋と一緒に施設へ戻った。