どんな君でも愛してる

 結局、二人分の仕事をしていることを言っているのだ。本当なら北野さんの仕事を自分でやったほうが早い。

 二重チェックで間違いを指摘し、やり直しをさせてまたチェック。とにかく手間がかかり、大変なのだ。

「あ、いえ……」

「三井さんが指導員だったら今頃修羅場だよ」

 三井さんは毒舌だ。我慢なんて大嫌い。はっきりきっぱりした先輩の女性。

「……ぷっ、あはは」

「笑い事じゃないよ。仙台のことだって悪かったね。まあそのうち、君にはお礼ができるといいんだけどね」

「期待しないで待ってます、部長」

「そうしてください。僕も彼女を預かった時からなんのご褒美も上からもらってないからね」

 二人で目を見合わせて笑った。

 
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