どんな君でも愛してる

転勤

 信也さんは、社長からなかなか退職を許されなかった。

 彼はノアの社長であるお父様を説き伏せて、たくさんのノアの商品をうちの会社に納入契約した。

 そこで初めて社長の許しをやっと得て、先月末でとうとう退職した。

 私は寂しかった。彼はそれからというもの、急に忙しくなり、全く会えなくなった。連絡もほとんどとっていない。

 そんなある日、相川くんとふたりで久しぶりに食事をした。信也さんと付き合いだしてから、ふたりきりでの食事は初めてだった。

「やっと……もとの場所へ戻ってきたな」

「え?」
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