どんな君でも愛してる

顔合わせ

 先日の異動で、転勤を含む人たちが赴任しはじめた。

 私は担当をしているのでそういうことがわかるのだ。社宅の手続きや家族の扶養、通勤費の計算などまあいろいろある。

 今週はピークになりそうだと思って気合を入れて仕事をしていた。

「本当に……川村さんってお仕事好きですね」

 隣で髪の毛をくるくると指で回している北野さんは私を見ながら言う。好きとかいう問題じゃない。

 要するに、やる気の問題だ。どうしたらあなたのやる気スイッチを押すことができるのかしら。

「北野さん……例の表は作り終わった?午後から使う会議の資料よ」
< 31 / 302 >

この作品をシェア

pagetop