クールな御曹司と初恋同士の想い想われ契約婚~愛したいのは君だけ~
「お兄ちゃんって相変わらず忙しそうですね。今日も出張で帰ってこないんですか?」

悠真は現在『小笹食品』という大手食品メーカーで営業をしている。

本人が言うには営業成績抜群のやり手の営業マンだそうだ。

「月の半分は出張で飛び回ってるわね」

千咲はあっさり答えながら、美緒のグラスにお茶を注ぐ。

本当なら千咲に付き合ってグラス一杯くらいはワインを飲みたいのだが、もともと酒に弱く寝不足気味なので、ひとりお茶を飲んでいる。

「今日は北海道だけど、昨日の夜に先方から電話がかかってきて朝いちで飛んで行っちゃった。営業って大変よね」

「月の半分もいなかったら寂しいですね」

このところ連絡が少ないとは思っていたが、それほど忙しいとは想像以上だ。

「私も休みが不規則だから、ちょうどいいかも」

近隣地域で最多の病床数を誇る総合病院で内科医として勤務する千咲は、当直もあり生活のリズムは不規則だ。

悠真とも数日顔を合わせないこともしょっちゅうだと聞いている。

「こういう生活が長いから、慣れちゃったし」

「そうなんですね」

悠真と付き合い始めて十年以上、そして同居を始めてからも五年以上が経ち、ふたりの関係にも余裕が生まれているのだろう。

千咲に寂しい様子は見えず、おでんに舌鼓を打っている。

これまでふたりで過ごしてきた時間の長さが自信となり、この状況も平気なのかもしれない。

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