クールな御曹司と初恋同士の想い想われ契約婚~愛したいのは君だけ~
ふたりの絆はそれほど強いのだろう。

恋愛経験ゼロの美緒にとっては完全に未知の領域であり、匠への恋心を捨てきれずにいる限り、これからも縁がない話だ。

ふと匠の笑顔が頭に浮かび、美緒はただでさえおでんとこたつで熱い身体がさらに熱を帯びたような気がした。

「最近ひとりの食事が多かったから、今日は美緒ちゃんが来てくれてよかった。あ、厚揚げもいい感じだから、食べてね」

「あ、は、はい」

美緒は匠への想いに急いで蓋をし、箸を握り直した。

ぐつぐつ湯気をあげている土鍋の中は、たくさんの具材がぎっしり並んでいる。

千咲の実家では定番だという牛すじも、柔らかくて口に入れると蕩けそうだ。

美緒はその後も千咲に勧められるまま箸を進めた。

話上手な千咲との時間は笑いが絶えず、たわいのない話題で盛り上がる。

「あれ……」

最後になにかもうひとつだけと思い鍋の中を見ると、種類豊富な具材の中でもとくに大根が多いと気づいた。

今も鍋の中にかなりの数が残っている。

大根は美緒が一番好きな具材だ。
子どもの頃は美緒と同じく大根に目がない悠真と取り合うことも多かった。

それは美緒が大人になってからも変わらず、一緒に暮らしている時に作っていたおでんは半分以上が大根だったほど。

美緒は向かいに座る千咲をチラリと見やる。

< 22 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop