双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 俺の友人は彼女を、不倫に溺れたエリートパイロット狙いだと言ったが、その噂に誤解があるのを前提として、仮に茉莉がそういう女だった場合、俺はどうなんだ。だったら別れるか? と考えてみた。

 茉莉とはSNSでしか繋がっていない。マンションを教えたとはいえ引っ越してしまえばそれきりだ。今ならあっさりと別れられるぞと自分に問いかけ、結婚を視野に気持ちと向き合った。

 スマートフォンが壊れたのはちょうどいい機会だったんだ。

 一生を共にしたい。俺の隣にいるのは茉莉以外考えられないと、指輪を注文して次に会ったときにプロポーズをするつもりだった。

 彼女が消えて、いざ捜そうとしても、俺はなにも知らなかった。

 茉莉という名前。元CAのツルノマリ。都内の雑貨店でアルバイトをしている。ひとり暮らし。学歴も友人関係も、手掛かりなるものはひとつもない。

 せめて、電話番号を変えず、引っ越しもせずにいれば、ふらりと彼女が現れて、ごめんねと笑うかもしれないと待つしかなかった。

 だが、半年、一年と経つうちに、所詮、彼女にとって俺は、記憶の一部を通り過ぎるだけの男でしかなかったのかと思い始めていた。

 だがもし、その理由が誤解にあるならば、このままにはしておけない。

 なんにせよ、俺の気持ちはまったく変わっていないのだから――。


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