再会したスパダリ社長は強引なプロポーズで私を離す気はないようです
◇  ◇  ◇


「景色を見ながらこんなに美味しい食事を食べれるなんて贅沢です」

「気に入ってくれて良かった」


クルーズ船に乗ってから30分が経った。最初は船酔いしないか心配だったけど杞憂のようだった。


「藤堂さんはいつもこんなふうにクルーズ船に乗って誰かと食事したりするんですか?」

「仕事の取引先の人とか接待する時には来るけど、女性と来たのは千夏が初めてだよ」


「そ、そうなんですね」

私の言いたいことを察するかのように答えてくれた。私以外の女性と来てもおかしくないし、なんなら異性と付き合っていても不思議じゃない。

6年という空白の期間があって、藤堂さんの容姿や年収に惹かれて女性のほうから言い寄ってくるだろう。

なんならお見合いの一つや二つあるに違いない。私は一般人だから、そんな世界を知らないけれど、お金持ちにはお金持ちの世界もあるのよね。


「藤堂さんはもう30歳ですし、お見合いの話とかなかったんですか?」

心の中に留めておくつもりだったのに気になって聞いてしまった。


「数年前にあったよ」

「そう、ですよね」

やっぱりそうだよね…。普通なら私なんか相手にされないもん。


「でも全て断ったよ」

「どうしてですか?」


「結婚したいほど好きな人がいるから貴女とは結婚出来ませんって断ってた」

「それって…」

もしかして私なんじゃ…? とありもしない想像をした。数年前ってことはまだ私と再会する前だ。
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