迷路の先には君がいた

交渉Ⅱ

「では、まずサムエルホテルグループの買収ですが……スワンが傘下に入らないなら、そちらはこの資金が準備できないんじゃないですか?」

「スワンは何が何でも合併させる。彼女の言うことなど、繁と結婚させてしまえば無意味だ」

「ひとつ貝原オーナーに別の提案があります。サムエルホテルグループはうちで買収して、そちらに丸ごとさしあげるという案です」

 皆が驚いて鷹也を見た。何を言っているんだろう。

「……はあ?鷹也、お前何言ってんだ?」

「いや、さっきオーナーにもお話したでしょう。困っているホテルグループを同業として救えるようになりたいと。貝原オーナーが身銭を切ってあの時のスワンを救ったように、私も収益難でつぶれかけてるサムエルホテルグループを救ってあげるんです」
< 59 / 112 >

この作品をシェア

pagetop