迷路の先には君がいた

「中田君。何か魂胆があるようだな」

「嫌だな、魂胆なんてありませんよ。尊敬する貝原オーナーに人間として少しでも近づくためです。ほら、弁護士に書面も用意させてきました」

 佐々木が弁護士から書面を預かると、貝原オーナーの前に差し出した。繁も横に行ってその内容を見ている。

「サムエルホテルグループを買収したツインスターホテルグループが、なぜうちにサムエルを寄越す?」

「だから言ったでしょう。あなたの真似です。それでスワンの代わりにサムエルをグループの傘下に入れればよいのではないですか?」

 バン!貝原オーナーは机をたたいた。
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