迷路の先には君がいた

「中田様。私はスワンの従業員です。いくら支配人だとはいえ、お嬢様が実質のオーナーです」

「いいのよ、もう。それより本当にありがとう。私の為悪者になる覚悟までして……鷹也の強引な要求をのんだのね」

「芙蓉様……お礼を言うべきはお隣の中田様ですよ。実質借金を肩代わりされてしまわれた。スワンで払う道もあったのに、それではお嬢様は戻れないと言うのです」

「それはそうだろう。芙蓉をスワンごともらってしまう計画のあの人達は、スワンの収益もすべて自分たちのものだと勘違いしていた。サムエルの買収だって、その金をあてにしていたくらいだ」

「ねえ……鷹也。サムエル買収の金額はいくら?すべて払わせてくださいね」

 鷹也はふーっと息を吐いた。そして額をおさえた。
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