突然シンデレラ~王子様は実在しました~
プロローグ
 チャペルの祭壇の前――

 私は、ウエディングドレスに身を包み、ベール越しに新郎へと視線を向ける。そこには、おとぎ話に出てくる王子様が立っていた。

 横に立つ王子様とは、今この瞬間が初対面で、私が逃げないようにと会うことなく、結婚式を迎えたのだ。こんな王子様なら、逃げるはずはないけれど、私達姉妹が聞いていたプロフィールは、四十歳ぽっちゃり体型。

 それを聞いた瞬間に、妹は私に結婚を押しつけたのだ。元々、わが家ではずっと虐げられてきた私に、拒否権はなくこの日を迎える。

 先程から妹が、鬼の形相で私を睨んでいるのが、視界の端に入っているのだ。睨まれても、私が決めたのではなく、あなたが押しつけたのでしょう?

 ここに立つ権利は、妹にもあった。いや、間違いなく妹優先だったのだ。

 実際には、二十代後半の長身で超イケメン。何度もいうけれど、王子様。

 私は、シンデレラになった気分だ。

 神様が、今日まで辛い思いをしてきた私に、シンデレラになる魔法をかけてくれたに違いない。
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