突然シンデレラ~王子様は実在しました~
 私が、そんな妄想を続けている間にも式は進んでいて、誓いの言葉を紡ぐ。

「新郎さん雪哉(ゆきや)さん、あなたはここにいる希々(きき)さんを、病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、妻として愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
「はい、誓います」

 私は頭の中で、きっと冬生まれなのねと呑気なことを考えていた。プロフィールと年齢や容姿は違うけれど、確かに雪哉とは書いてあったのを見たのだ。

「新婦希々さん、あなたはここにいる雪哉さんを、病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、夫として愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
「ーーはい、誓います」

 長年縛られていた実家からの解放と、王子様の存在に、絶叫したいほどの興奮を味わっている。

 細くて綺麗な指が、私の左手をとって、指輪をはめてくれた。今度は私が雪哉さん左指に。

 指輪を持って気づいたけれど、某有名店の指輪だった。

 どこのブランドがいいかなんて、オシャレに疎い私が分かるはずもなく、サイズを伝えただけ。
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