夜の帝王の一途な愛
「あゆみ」
彼は私の姿を見つけると駆け寄って来た、そして力強く抱きしめた。
「良かった、何処に行ったのかもわからず、電話も通じなくて、もう会えないのかと思った」
「ごめんなさい」
「帰ろう」
「はい」
彼と私はマンションへ向かった。
車の中で彼は黙っていた、いろいろ聞きたいことはあるだろうに・・・
私はざっくりと説明を始めた。
「昼間加々美社長から食事の招待の電話頂いて、断ったんですけど、閉店間際に急に来て食事に行くことになってしまって、連絡しないでごめんなさい」
「そうか」
彼の表情は沈んでいた、ハンドルを握る手が小刻みに震えているように感じた。
「麻生さん?大丈夫ですか?」
彼は黙っていた。
「電話を何度もくれたのに、出られなくてごめんなさい、加々美社長に出ないでくれと止められて・・・」
彼は車を停めた、私の方に向きを変えて膝の上に乗せていた私の手を握った。
心臓がズキュンと音を立てて鼓動が早くなるのを感じた。
< 111 / 207 >

この作品をシェア

pagetop