私の心の薬箱~痛む胸を治してくれたのは、鬼畜上司のわかりづらい溺愛でした~

「な、今、ちょ……」
 混乱しすぎて言葉が出ない。
 まさかここでこんな言葉を向けられるなんて、想像すらしていなかったのだから。
 
 私の取り乱した応えに、鬼上司が声を張り上げる。
「返事ははっきりと!! イエスかノーか!!」
「ひゃいっ!! い、イエスです!!」

 はっ……!!
 勢いでそう答えてすぐ我に返った私の目の前には、悪い顔で笑う雪兎さん。
 そして────。

「!?」
 雪兎さんの形の良い唇が、私の手の甲にそっと触れた。

「未来の約束。ここに居る全員が証人だ。だから、不安がることはない」
「!! 気づいて……?」

 不確かな関係に不安になっていた私の心を見透かしたように紡ぎ出された言葉に、私は驚き目を見開いた。

「当たり前だ。……一生向き合ってやるから、覚悟しろ」
「~~~~~~っ」

 心に入っていた傷やヒビが、少しずつ、綺麗になっていく。
 雪兎さんの不器用だけど暖かい思いが、私を変えていく。

 これからも、きっと。

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