【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
 バシッと肌がぶつかる音がして、リーゼの手首が掴まれたのはほぼ同時だった。
 強い力で上に引き上げられ、リーゼは半ば強制的に立ち上がらされた。ボトッ、と膝の上に置いたバスケットが芝生の上に虚しく落ちる。

「ラ、ランドルフ様……?」

 突然のランドルフの奇行に呆気に取られたリーゼがその理由を訊ねる前に、ランドルフは歩き出してしまう。
 リーゼの手首は握ったまま。必然的にリーゼも彼についていくしかない。

「あ、あの……!」

 ランドルフの早足についていけず、足がもつれそうになる。だがよろめくリーゼに構うことなく、ランドルフは歩を進めていく。
 
 彼の背からヒシヒシと伝わってくる怒りのようなもの。どうして彼が機嫌を損ねているのか全くわからず、リーゼは戸惑いを隠せない。

 ついでに置き去りにしてしまったジョシュアの存在も思い出して、慌てて後ろを振り向くと、彼は苦笑いを浮かべてリーゼに手を振っていた。とりあえず会釈をして非礼を詫びながら、リーゼは小走りでランドルフについていった。
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