契約結婚のススメ〜雇われ妻のはずが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています〜
(ど、どうしよう……)
片思いを断ち切るどころか、予想外に求婚されている。
こんなはずでは……と頭を抱えたくなった。
結婚相手に選んでもらえるほど信頼してくれているのは嬉しい。
でもこれは契約結婚。愛されているわけじゃない。お飾りの雇われ妻なだけ。
それにもし、リーゼがランドルフを慕っていることに気がついたら、彼はどう思うだろう。彼が忌み嫌う女性と同じ、浅ましい感情をリーゼが抱いていると知ったら……
リーゼの心に一筋の影が落ちる。
きっと断った方がいい。
やましい想いを抱えたリーゼを選ばなくとも、ランドルフならもっと相応しい相手が見つかるはず。この結婚を契約として割り切って受け入れることのできる女性が。
そう思っていたはずなのに。
「…………分かりました。その役目、私でよければお引き受けします」
悩んだ末、リーゼはそう答えていた。
自分が彼にとって色んな意味で相応しくないと分かっていても。愛されることはないと分かっていても。
それでも、彼の隣にいられるという甘美な特権を得られるチャンスを不意にしたくはなかったから。
割り切れない想いを抱えたまま、リーゼがジッとランドルフを見つめると、彼は満足そうに口の端を持ち上げてうっすらと微笑んだのだった。
片思いを断ち切るどころか、予想外に求婚されている。
こんなはずでは……と頭を抱えたくなった。
結婚相手に選んでもらえるほど信頼してくれているのは嬉しい。
でもこれは契約結婚。愛されているわけじゃない。お飾りの雇われ妻なだけ。
それにもし、リーゼがランドルフを慕っていることに気がついたら、彼はどう思うだろう。彼が忌み嫌う女性と同じ、浅ましい感情をリーゼが抱いていると知ったら……
リーゼの心に一筋の影が落ちる。
きっと断った方がいい。
やましい想いを抱えたリーゼを選ばなくとも、ランドルフならもっと相応しい相手が見つかるはず。この結婚を契約として割り切って受け入れることのできる女性が。
そう思っていたはずなのに。
「…………分かりました。その役目、私でよければお引き受けします」
悩んだ末、リーゼはそう答えていた。
自分が彼にとって色んな意味で相応しくないと分かっていても。愛されることはないと分かっていても。
それでも、彼の隣にいられるという甘美な特権を得られるチャンスを不意にしたくはなかったから。
割り切れない想いを抱えたまま、リーゼがジッとランドルフを見つめると、彼は満足そうに口の端を持ち上げてうっすらと微笑んだのだった。