【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
「……俺が、リーゼを愛していたからか」

 知らず知らずのうちに、彼女に恋焦がれていた。彼女の全てを独占したいと願ったのも、彼女を愛していたから。

 胸に蔓延っていた薄暗い靄が晴れていく。
 だが同時に昨日の己の愚行を思い出し、途轍もない後悔と絶望に襲われる。

 彼女への想いを自覚したからといって、彼女に嫌われていては全く意味がない。昨日の自分は控えめにいってクズだった。決して許される所業ではない。
 
 今、自分がせねばならないことは一つ。
 矢も楯もたまらず、ランドルフは立ち上がった。

「ジョシュア。俺は帰る。あとは頼んだ」
「は?いや、俺に頼まれても……って、おい!テメェ、人の話を聞け!!」

 扉に寄りかかっていたゴツい男を難なく押し退け、ランドルフは執務室を飛び出した。後ろからジョシュアが騒がしく喚いていたが、その抗議がランドルフの耳に入ることはなかった。
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