【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
「俺はそれほどヤワではない。遠乗りがてら、いい気分転換になっているくらいだ」
リーゼの不安を払拭するように、ランドルフが優しい声でそう囁く。
ホッとしたリーゼが微笑むと、ランドルフの双眸が柔らかな光を湛えて細まった。愛しい、と視線からも伝えられるようでリーゼの胸が甘く疼く。
そうして見つめ合っていると、不意にランドルフが何かを思い出したように傍らに置いていたカバンを開いた。
「今日の見舞いの品だ」
そう言って、三冊の本を順にリーゼの膝に乗せていく。
リーゼが好む恋愛小説に、詩集と紀行文。好みはあるものの、基本的に雑食の読書家であるリーゼは新たな本の出現に相好を崩した。小机に積まれている本も今のようにランドルフが持ってきてものだ。
「この間出版されたばかりだというものを選んだが、読むのは初めてか?」
「はい。どれも読んだことのないものです。というか、もしかして、これまで持ってきていただいた本もランドルフ様が選んでくださったものなんですか?」
てっきりランドルフの指示を受けたマーティンが選んだものだと思っていたけれど。リーゼが目を瞬かせると、彼は何を今更とばかりに首を傾げた。
「当たり前だ。妻への贈り物を他人任せにするつもりはない。それと、これは俺が君に贈りたいものだ」
手渡されたのは色鮮やかな花の刺繍が施された丸い小箱。手のひらにちょうど乗る大きさのそれを開けると、中には花束モチーフのブローチが明かりに照らされ、キラキラと輝いていた。
リーゼの不安を払拭するように、ランドルフが優しい声でそう囁く。
ホッとしたリーゼが微笑むと、ランドルフの双眸が柔らかな光を湛えて細まった。愛しい、と視線からも伝えられるようでリーゼの胸が甘く疼く。
そうして見つめ合っていると、不意にランドルフが何かを思い出したように傍らに置いていたカバンを開いた。
「今日の見舞いの品だ」
そう言って、三冊の本を順にリーゼの膝に乗せていく。
リーゼが好む恋愛小説に、詩集と紀行文。好みはあるものの、基本的に雑食の読書家であるリーゼは新たな本の出現に相好を崩した。小机に積まれている本も今のようにランドルフが持ってきてものだ。
「この間出版されたばかりだというものを選んだが、読むのは初めてか?」
「はい。どれも読んだことのないものです。というか、もしかして、これまで持ってきていただいた本もランドルフ様が選んでくださったものなんですか?」
てっきりランドルフの指示を受けたマーティンが選んだものだと思っていたけれど。リーゼが目を瞬かせると、彼は何を今更とばかりに首を傾げた。
「当たり前だ。妻への贈り物を他人任せにするつもりはない。それと、これは俺が君に贈りたいものだ」
手渡されたのは色鮮やかな花の刺繍が施された丸い小箱。手のひらにちょうど乗る大きさのそれを開けると、中には花束モチーフのブローチが明かりに照らされ、キラキラと輝いていた。