【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
「き、昨日も会いましたけど……」

 動揺して可愛げのないことを言うことしかできない。
 だがランドルフは気にならないのかさらに抱きしめる腕を強めてくる。

「今は職場に君がいないからな。そう思うのも致し方ない」
「は、はぃ……」

 ひとしきりリーゼを抱きしめ満足したのか、ランドルフはそのまま軽々とリーゼを抱き上げ部屋の中に入ると、先程までリーゼが座っていたソファに腰掛けた。リーゼを膝に乗せたまま。

「あの、自分で座れます」
「俺はこの方がいい」

 一応抵抗してみたものの、敢えなく却下された。元から降ろしてもらえるとも思っていないので落胆もない。
 
 ランドルフの膝の上に横向きに座りながら、リーゼは躊躇いがち彼の胸にもたれかかった。すると、彼の手が優しくリーゼの髪をすいてくれるので、心地よさにリーゼはすっと目を細める。

「……こうして毎日来てくださって、ランドルフ様のご負担ではないですか?」

 ランドルフは連日、仕事終わりに王都からリーゼのいる宿屋まで見舞いに来ていた。
 王都からは馬で一時間以上かかるというのに、毎日欠かさず。嬉しいと思う反面、彼の負担になっていないか不安だった。
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