【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
「昔、実家で飼っていたんだ。俺によく懐いていて、呼ぶとすぐに全速力で駆けてきてな」
「……あの、飼っていたって……エリザベートはその、動物なんですか……?」
「ん?ああ、犬だ」
「犬……」
どうやら本当に毛並みを整えられていたらしい。リーゼはなんとも言えない気持ちになる。
ランドルフはいつになく穏やかな表情でエリザベートとの思い出を回顧し始めた。
「昔は……というか今もだが、母と姉と妹たちが何かとうるさかったからな。うんざりした時はいつもエリザベートのところへ行って背中に顔を埋めていた」
「癒されてたんですね、エリザベートに」
「そうだな。エリザベートという逃げ場所がなければ、俺は鼓膜が破れて発狂していただろうからな」
「あ、あはは……」
皮肉っぽくのたまうランドルフの言葉を大げさだと否定できないのは、リーゼ自身が伯爵夫人をはじめとするフォスター家の女性陣の饒舌多弁っぷりに圧倒されたからだった。
一言うと十返ってきて、しかもそれが四人分なのだ。フォスター家へ挨拶へ行ったリーゼは、終始彼女たちの会話に笑顔で頷くだけで時間が過ぎ去っていた。
ランドルフの女嫌いの発端がわかった瞬間だった。
「エリザベートは賢い犬だったんだが、食べ物には目がなくてな。俺の手ごと餌を食べそうになることがよくあって、𠮟るとさっきの君みたいにシュンとしていた」
それでリーゼとエリザベートを重ねて懐かしんでいたということだろうか。
エリザベートがランドルフにとって大切な存在であることはわかるが、いまいち喜べない。なにせ相手は犬なので。
「……あの、飼っていたって……エリザベートはその、動物なんですか……?」
「ん?ああ、犬だ」
「犬……」
どうやら本当に毛並みを整えられていたらしい。リーゼはなんとも言えない気持ちになる。
ランドルフはいつになく穏やかな表情でエリザベートとの思い出を回顧し始めた。
「昔は……というか今もだが、母と姉と妹たちが何かとうるさかったからな。うんざりした時はいつもエリザベートのところへ行って背中に顔を埋めていた」
「癒されてたんですね、エリザベートに」
「そうだな。エリザベートという逃げ場所がなければ、俺は鼓膜が破れて発狂していただろうからな」
「あ、あはは……」
皮肉っぽくのたまうランドルフの言葉を大げさだと否定できないのは、リーゼ自身が伯爵夫人をはじめとするフォスター家の女性陣の饒舌多弁っぷりに圧倒されたからだった。
一言うと十返ってきて、しかもそれが四人分なのだ。フォスター家へ挨拶へ行ったリーゼは、終始彼女たちの会話に笑顔で頷くだけで時間が過ぎ去っていた。
ランドルフの女嫌いの発端がわかった瞬間だった。
「エリザベートは賢い犬だったんだが、食べ物には目がなくてな。俺の手ごと餌を食べそうになることがよくあって、𠮟るとさっきの君みたいにシュンとしていた」
それでリーゼとエリザベートを重ねて懐かしんでいたということだろうか。
エリザベートがランドルフにとって大切な存在であることはわかるが、いまいち喜べない。なにせ相手は犬なので。