【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
「もちろんだ。それだけでなく、君の家族が路頭に迷わないよう支えていくつもりだ」
「……本当にすみません」
「そう謝るな。君の実家を支援することは契約で定められた俺の義務だ。気にしなくていい」
「ありがとうございます……」

 とはいえそう簡単に罪悪感は消えない。シュンとしていると、リーゼの隣の席に移動したランドルフがリーゼの頭をポンポンと撫でた。
 その優しさにキュンと胸が甘く疼く。でも契約のための優しさだと思い出して心にチクンと棘が刺さる。

 ランドルフは何度も繰り返しリーゼの頭を撫でた。控えめだった手つきがだんだんと大胆になっていく。まるで毛並みでも整えられているようで。最初はときめいていたリーゼも次第に戸惑いを覚えてくる。

「あの、団長……?」

 おずおずと窺うように見上げると、ランドルフはハッとしたように手を離した。
 心地よい体温が離れてしまって、リーゼの胸に一抹の寂しさがよぎる。

「すまない。その、君を見ていたらエリザベートを思い出してしまって」
「エリザベート……?」

 明らかに女性の名前で、リーゼの体に緊張が走る。
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