【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
 そして迎えた週末。
 リーゼは真新しいデイドレスに身を包み、鏡台の前に座ってエイダに髪を結ってもらっていた。
 結婚に際してランドルフが買い揃えてくれたドレスの中で、今日選んだのはミントグリーンと白の縞柄のドレス。裾と袖にはレースのフリルがふんだんに縫い付けられていて、動くたびにフワフワと揺れ動くのが可愛らしい。
 
 淡い色が用いられているため、くすんだリーゼの金髪と合わせても違和感がない。既製品というけれど、まるであつらえたかのようにリーゼにぴったり似合っていた。

「奥様、とってもお綺麗ですわ。普段もこのくらい着飾っていただいてもよろしいのですよ?」

 いつもは官吏の制服である簡素な紺色のドレスしか着用しないリーゼへ、エイダが茶目っけたっぷりに笑いかける。
 尽くしがいのない主人で申し訳ない。リーゼは苦笑を漏らして肩をすくめた。

「ありがとう、エイダ。そうね、たまにはこういう格好もしていこうかしら」
「ええ、ええ。そうしてください。旦那様もきっとお喜びになりますよ」
「……あの方は私の格好になんて興味ないと思うけど」

 リーゼが着飾っていようといまいと、ランドルフは全く興味を示さないと思う。
 今日も出かける前に、家にいるランドルフへ挨拶をしようとは思うが、リーゼの装いに言及なんてしないだろう。絶対に、そう言い切れる。

 なのにエイダは、リーゼの髪を器用に編み上げながら「そんなことないと思いますけどねぇ」と呑気に言っているのだから、居た堪れない。
 
 リーゼがただ妻のふりをしているだけというのを知っているのに、エイダは時折、まるでランドルフがリーゼに関心があるかのように話してくるのだ。惨めになるのでやめてほしい……とリーゼはいつも心の中で思っている。言えないけれど。
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