【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
王都随一の広さを誇るミラフォード歌劇場のロビーは、開演一時間前だというのに既に大勢の人で賑わっていた。
煌びやかなシャンデリアの下、毛足の長い真紅の絨毯に足を踏み入れる。
人混みに慣れないリーゼがはぐれないようにランドルフの腕を掴む手の力を強めると、頭上からクスリと笑う声が降ってきた。
「緊張しているのか?席は二階だから着くまではぐれないよう、しっかり掴まっていてくれ」
「はいっ」
「…………冗談だ。子供扱いするなと怒るところだぞ?」
「でも私、この人混みでランドルフ様とはぐれたら、見つけ出せる自信はないです」
「…………かわいいな」
「えっ?」
小さく呟かれた言葉は喧騒にかき消されてよく聞こえなかった。聞き返そうとランドルフを見上げるも、彼はむっつりと顔をしかめている。
「いや、なんでもない。早く行こう」
「でも今、何か仰いましたよね?」
「なんでもないと言っている」
「そう、ですか?」
そんなやりとりをしながら歩いていると、ロビーにいる人々から視線を寄せられているのを感じて、リーゼは口をつぐんだ。
品定めでもするかのような眼差しに体を貫かれる。どこか不躾にも感じられて、リーゼは眉をひそめた。「あの、なんか見られていませんか?」
見上げると、ランドルフも同じく不機嫌そうに顔をしかめていた。
「……おおかた男どもが着飾った君を見ているんだろう」
「そ、そんなに変な格好をしていますか、私……?」
隣に立つランドルフの美しさには到底釣り合っていないことは自覚しているが、衆目を集めてしまうほど自分は不恰好なんだろうか。一応流行りのドレスのはずなのに。
不安になって己の姿を見下ろすと、不意にランドルフがグッとリーゼの腰を引き寄せた。
「そんなわけはない。君によく似合っている。それより不愉快だ。早く行こう」
「は、はい……」
リーゼの腰に回るその腕は力強く、好奇の目に晒されるリーゼを守ってくれるようだった。それに、サラリと褒めてくれたことも嬉しくて。
ロビーの真ん中にある立派な大階段を上る頃には、もうそんな視線は気にならなくなっていた。
煌びやかなシャンデリアの下、毛足の長い真紅の絨毯に足を踏み入れる。
人混みに慣れないリーゼがはぐれないようにランドルフの腕を掴む手の力を強めると、頭上からクスリと笑う声が降ってきた。
「緊張しているのか?席は二階だから着くまではぐれないよう、しっかり掴まっていてくれ」
「はいっ」
「…………冗談だ。子供扱いするなと怒るところだぞ?」
「でも私、この人混みでランドルフ様とはぐれたら、見つけ出せる自信はないです」
「…………かわいいな」
「えっ?」
小さく呟かれた言葉は喧騒にかき消されてよく聞こえなかった。聞き返そうとランドルフを見上げるも、彼はむっつりと顔をしかめている。
「いや、なんでもない。早く行こう」
「でも今、何か仰いましたよね?」
「なんでもないと言っている」
「そう、ですか?」
そんなやりとりをしながら歩いていると、ロビーにいる人々から視線を寄せられているのを感じて、リーゼは口をつぐんだ。
品定めでもするかのような眼差しに体を貫かれる。どこか不躾にも感じられて、リーゼは眉をひそめた。「あの、なんか見られていませんか?」
見上げると、ランドルフも同じく不機嫌そうに顔をしかめていた。
「……おおかた男どもが着飾った君を見ているんだろう」
「そ、そんなに変な格好をしていますか、私……?」
隣に立つランドルフの美しさには到底釣り合っていないことは自覚しているが、衆目を集めてしまうほど自分は不恰好なんだろうか。一応流行りのドレスのはずなのに。
不安になって己の姿を見下ろすと、不意にランドルフがグッとリーゼの腰を引き寄せた。
「そんなわけはない。君によく似合っている。それより不愉快だ。早く行こう」
「は、はい……」
リーゼの腰に回るその腕は力強く、好奇の目に晒されるリーゼを守ってくれるようだった。それに、サラリと褒めてくれたことも嬉しくて。
ロビーの真ん中にある立派な大階段を上る頃には、もうそんな視線は気にならなくなっていた。