【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
気後れが増長してリーゼは口をつぐんだ。それを見たランドルフは一瞬目を瞠り、それからどこか呆れたようにうっすら微笑んだ。
「まったく、君は……どこまでも仕事熱心だな。確かに、たかだか結婚をしていないからといって、周囲から侮られるのは癪だが……」
いかにも憂鬱そうな深いため息が室内に響く。彼の女性嫌いは相当根深いらしい。
何が原因で彼はこんなにも女嫌いを拗らせてしまったんだろう。
リーゼやベルといった騎士団に所属する女性とは普通に(そっけなく)接しているから知らなかった。
「いっそ妻を金で雇ってみるか」
やけっぱちのように、ランドルフは鼻で笑った。
だがその言葉こそ、リーゼの脳にパッと閃きをもたらした。
「それです!」
「は?」
「団長!雇えばいいんですよ、奥方様を!」
「……本気で言ってるのか?」
ランドルフの目が、何をバカな……と胡乱げな色に染まる。
だが、リーゼは本気も本気だった。グッと拳を胸の前で握って、一歩前に進み出る。
「もちろんです。奥方様に報酬を渡す代わりに、夫婦として振る舞うのは公の場のみと、契約としてあらかじめ定める――契約結婚という形をとればいいんですよ。そうすれば私生活での関わりは自ずと避けられますし、奥方に煩わされることもありません。団長にはピッタリだと思います!」
「まったく、君は……どこまでも仕事熱心だな。確かに、たかだか結婚をしていないからといって、周囲から侮られるのは癪だが……」
いかにも憂鬱そうな深いため息が室内に響く。彼の女性嫌いは相当根深いらしい。
何が原因で彼はこんなにも女嫌いを拗らせてしまったんだろう。
リーゼやベルといった騎士団に所属する女性とは普通に(そっけなく)接しているから知らなかった。
「いっそ妻を金で雇ってみるか」
やけっぱちのように、ランドルフは鼻で笑った。
だがその言葉こそ、リーゼの脳にパッと閃きをもたらした。
「それです!」
「は?」
「団長!雇えばいいんですよ、奥方様を!」
「……本気で言ってるのか?」
ランドルフの目が、何をバカな……と胡乱げな色に染まる。
だが、リーゼは本気も本気だった。グッと拳を胸の前で握って、一歩前に進み出る。
「もちろんです。奥方様に報酬を渡す代わりに、夫婦として振る舞うのは公の場のみと、契約としてあらかじめ定める――契約結婚という形をとればいいんですよ。そうすれば私生活での関わりは自ずと避けられますし、奥方に煩わされることもありません。団長にはピッタリだと思います!」