心がきゅんする契約結婚~貴方の(君の)元婚約者って、一体どんな人だったんですか?~

18 出会い

「ジョサイア……」

 私を好きになった理由を聞いたからと、この彼がこんな風になってしまうなんて、思ってもみなかった。

 だって、ジョサイアは王の側近で、宰相補佐をするくらい仕事の出来る人で、アメデオの言っていた通り、既に権力者の一人なのだろう。

 王の側近になるくらいだから、常に沈着冷静で仕事もとても出来ると聞くし、こんな風に顔を赤くして恥ずかしそうな姿を見られるのは、きっと私だけ。

 ジョサイアは少し目を泳がせてから息を吐き、意を決したようにして話し始めた。

「出会いとは言っても、完全に一方的で、レニエラは僕のことを見ていないです。実はアルベルトたちと、同年代の貴族の顔を覚えるためにと、お茶会の様子を見に行ったんです……そのお茶会にレニエラは婚約者と共に参加していたんですが、彼から髪をひっぱられたり、何か意地悪を言われていたようで、悲しそうな顔で泣きそうになっていました」

「え……そうなの?」

 社交が仕事の貴族の当たり前なので、元婚約者と共にお茶会なら何度も何度も参加した。あれのどれかを、ジョサイアに見られていたんだ。

 私と元婚約者の仲の悪さなら、本当に酷いものだった。そんなところを見られていたなんて、すごく恥ずかしい。

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