心がきゅんする契約結婚~貴方の(君の)元婚約者って、一体どんな人だったんですか?~

20 帰宅

「とにかく……落ち着きましょう。アメデオ」

 よろめいた私は応接室へと案内しようと歩き出したけど、何もないところで躓いてアメデオに支えられた。

 目が合って呆れた顔をしたアメデオは、はあっと大きくため息をついた。

「姉さん。大丈夫? ……僕はこの上なく、落ち着いているよ。馬鹿に対する怒りに、打ち震えてはいるけどね」

 幼い頃から姉大好きなことを隠さないアメデオは、ショーンのことが本当に大嫌いだった。

「本当に信じられない。なんで、そんなことを? あれだけの人数の前でしたことなのよ。なかったことになんて出来ないでしょう?」

 婚約破棄をしたあの瞬間、大勢の人たちが見ていた。それを「間違いでした」と言って、通常なら通じるものではないと思う。

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