契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
「お帰りなさいませ」
澪花の手を引いたまま玄関を入っていく。
「母は?」
「ご在宅です。リビングにいらっしゃいます」
読み通り母は在宅。澪花を連れたままリビングへと真っ直ぐ向かっていく。
約束もなく現れた息子と嫁の姿に、母は目を丸くし、手にしていたティーカップをソーサーに置いた。
今日は偶然にも父も同席していて都合がいい。
「連絡もなく急ね。一体どうしたの」
「私たちが来た理由はあなたが一番わかると思いますが」
母の表情がわずかに険しくなる。となりにいる澪花に視線を流した。
「私が反対するのは当たり前でしょう。蓮斗、あなた自分の立場をわかっているの?」
「わかってます。でも、妻となるのは澪花しかいない」
「あなたに相応しい女性なんて、いくらでもいい人がいるわ」
ここまで訴えても、この人はなにもわかっていない。
自分の中でこれまで抑えてきたものが溢れ出していく。
「あなたたちの思い通りの生活をしてきたが、子どもながらに寂しい想いをしてきた。息子、として、あなたたちが親の顔を見せることはあまりなかったから」
「蓮斗……」
「それを責めるつもりは、今はもうない。この歳になって、それが仕方のないことで、だからこそ今の橘があるのもわかっている」