契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です～エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない～【極甘婚シリーズ】

「玉の輿って、お姉ちゃんそんなつもりで行く気⁉︎」

「もちろん。いい人と出会って、人生逆転したいでしょ？　借金を返済する生活ともお別れしたいし」


　借金返済──何気なく出てきた姉の言葉に小さく息をつく。

　私が小学生の頃に蒸発した父は、他所に女性をつくり、母と私たち姉妹を残して家を出ていってしまった。

　それからこの家に帰ってくることはなく、私が高校三年の時に亡くなったと連絡があったという。

　他所で女性と生活をしていた父は、多額の借金を抱えていた。

　母とは籍を抜いていなかったため、その借金の返済義務は妻である母へ。その後、母が体を壊したことで子どもである私たち姉妹が返済にあたることになった。

　家族を捨て、身勝手に出て行った上に借金を抱え、それも返済せずにこの世を去ってしまった父が今でも許せない。


「とにかく、こんなチャンスこの先待っててもこないんだから、一緒に行こうね。クリスマスにさ、素敵な人と出会うチャンスかもしれないでしょ？　しかも、セレブなね」

「私はもう恋愛なんてこりごり。ましてや、お金持ちの人なんて私たちのことなんて見下しているよ……」


　はっきりとそう主張すると、姉は「もう……」とため息交じりな声を出す。


「澪花、気持ちはわかるけど、いつまでもそんなこと言ってたらダメだよ。こりごり、なんて、じゃあこのまま一生恋愛しないつもり？　そろそろ過去の最低な男は忘れて、新しい恋愛しないと」