蝶と柊 ~冷たくて甘い君~
柊さんは笑いながらそう言って立ち上がって、
「あんたの意識も戻ったことだし、俺はお暇するよ、邪魔したな」
と、玄関の方へと歩いていく。
身長高い…スタイルもすごく良いな…
改めて立ち姿を見てそう思いながら私は、柊さんの手をひらひらと振る後ろ姿をその場に棒立ちで眺める。
「…待って、柊さん」
…はずが。
「ん?」
気づいたら私は柊さんを呼び止めて駆け寄っていて。
「...行かないで」
追い討ちに柊さんの腕を掴んでしまっている自分がいた。
少し驚いたような表情の柊さんと目が合って、自分が今していることに気がつく。
「……!ご、ごめんなさい、じゃあね」
無意識の中の自分の行動に驚きつつ、そう言って柊さんから手を離し、身体を翻す。
「待て」
歩き出そうとすると今度は逆に私が腕を掴まれ、引かれ、ぐるっと身体が回って柊さんと至近距離で目が合う。
奥の奥まで真っ直ぐなその瞳に、私の視界は何故か滲んでいって。
ぐちゃぐちゃのフィルター越しに、少し困った表情ながらも優しく目を細める彼はこう続けた。
「そんな顔した女、1人で置いてけねえよ」
そう言って私をゆっくり、優しく抱きしめてくれる柊さん。