この異世界ではネコが全てを解決するようです 〜ネコの一族になって癒やしの力を振りまいた結果〜
「こ、こんな──とんでもないイケメン王子様とゼロ距離だなんて、過呼吸になったらどうしてくれるんですかっ!」

 何を隠そう、彼はこのベルンハルト王国の王子である。
 私とネコはある理由から、彼をはじめとするベルンハルト王国軍に拾われ、庇護されることになった。

「ミケはちょっとは自重してください! こちとら、筋金入りの人見知りなんですよっ!」
「何を今更。私とタマの仲ではないか。私を愛称で呼ぶのもお前だけだぞ」

 最初にマンチカンのミケと間違えて触れたことで、人見知りを発動する前に距離が縮まり、私はそのまま彼をミケと呼ぶに至っている。
 そんな風に、人間のミケとの出会いを回想していると、ふいに笑い声が聞こえてきた。

『ふ、ふふ、ふふふ……』

 目の前にいるミケでも、子ネコと遊ぶのに夢中なおじさん達でも──それどころか、人間ですらない。

『ぐふっ、ぐふふふ、ぐへへへへ……にゃーははははあっ!』

 聞くに耐えない笑い声の発生源は、ブリティッシュロングヘアっぽいネコだったのだ。
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