この異世界ではネコが全てを解決するようです 〜ネコの一族になって癒やしの力を振りまいた結果〜
「わわっ……」

 突如内側に開いた扉と一緒に、部屋の中へ引っ張り込まれてしまう。
 入ってすぐの場所には黒い壁が突っ立っていた。

「みぎゃっ!」

 顔面からそれに突っ込んで潰された猫みたいな悲鳴を上げる私の上に、入室を許可したのとはまた別の声が降ってくる。

「お待ちしておりました、タマコ殿」
「お、恐れ入ります……」

 壁だと思ったものは、黒い軍服を纏った逞しい体つきの男性だった。
 年は、半年前に二十歳になった私より十ほど上だろうか。
 切れ長の目にじっと穴が開くほど凝視され、たじたじとなる。
 彼の分厚い体の向こうに、落ち着いた色合いの絨毯が敷かれた部屋と、その真ん中にある長テーブルを五人の男性が囲んでいるのが見えた。
 私の父や祖父くらいの年代に見える、黒い軍服を着込んだ体格のいい者ばかりだ。
 彼らは真顔でこちらを凝視していたが、ふいにバンッと書類の束をテーブルに叩き付けて席を立った。
 そうして、一斉に私の方に向かってくるではないか。

「あわわわわ……お、落ち着いて……」

 戦々恐々とした私は、腕の中の真っ白い毛玉をきつく抱き締める。
 みぎゃっ、とそれから声が上がったのと、私が筋肉の波に呑み込まれたのは同時だった。
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