この異世界ではネコが全てを解決するようです 〜ネコの一族になって癒やしの力を振りまいた結果〜
「ちょ、ちょっと……?」

 ガサガサと音を立て、東屋の手前にある茂みに分け入る白い背を、私は慌てて追いかけようとしたが……

『珠子は、きょうだいとともに大人しく見ておれ! この母の仕事っぷりをな!』

 顔だけ振り返ったネコにぴしゃりと言われ、踏みとどまる。
 肩や頭の上にいた子ネコ達もはしゃぐのをやめ、ネコの行動に注目した。
 そうこうしているうちに、きゃあ! と黄色い悲鳴を聞こえてくる。
 東屋にたどり着いたネコが、令嬢達に愛想を振り撒き始めたのだ。

「まあまあまあ! なんて可愛らしいのかしら!」
「見てごらんなさい! 毛がふわふわだわ! 抱っこしたい!」
「お待ちなさいな! 私が先ですわ!」

 とかなんとか、大騒ぎになっている。
 ネコに夢中の令嬢達は、もはや私の存在なんか忘れてしまったようだ。
 ただし、ネコの方は、ただ彼女達の負の感情を摘みにいっただけではなかった。

「「「キャーッ!!」」」

 令嬢達が、今度は絹を裂くよう悲鳴を上げる。
 何事かと目を丸くしていると、さっきは分け入った茂みをぴょーんと飛び越えて、ネコが戻ってきた。
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