この異世界ではネコが全てを解決するようです 〜ネコの一族になって癒やしの力を振りまいた結果〜
「あああーっ! た、大変っ……忘れてたぁっ!!」

 突然叫んだ私に、ネコはびくーんとして毛を逆立て、ミケは目を丸くして振り返る。

『珠子ぉ、やかましいっ! 何事じゃいっ!』
「タマ、どうした? 何を忘れていたと?」
「きょ、今日生まれた子を……ミットー公爵閣下の袖に隠れた子を一匹、回収し忘れてましたっ!」

 昼間に軍の会議室において、私がネコの腰付近から無理矢理引き剥がしたことにより誕生した、あのゴルフボール大の毛玉のことだ。
 その存在を今の今まですっかり忘れていたことに、私もネコも蒼白となる。
 そんな私達を──この翌朝、思いも寄らない展開が待ち受けていた。

「ええっと……これって、どういうこと……?」
『おおお、お前……わ、我の子、か……?』

 ミットー公爵に連れられて王城に戻ってきた末っ子は、もう毛玉ではなくなっていたばかりか……


『おはよっ! 母ちゃん、きょうだい──それから、珠子姉ちゃん!』
「『しゃ、しゃべったぁ──!?』」


 ミーミー鳴くばかりの真っ白い子ネコとも違う、まったく新しいネコの姿に進化していたのである。
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