店長代理と世界一かわいい王子様 ~コーヒー一杯につき伝言一件承ります~
深煎りの豆を丁寧に挽いて粉にし、香りを楽しみながらドリップする。
一切の手間を惜しまず、じっくり丁寧に拵えるイヴを眺めるウィリアムの眼差しは、それこそマンチカン伯爵家のジュニアがちびちび飲んでいる──こちらも猫舌である──カフェモカくらい、甘くなっていた。
その横顔を生温かい目で眺め、マンチカン伯爵が口を開く。
なお、王子に対する横柄な態度が許されるのは、彼が初代国王の親友で、その黎明期を支えた忠臣でもあったからだろう。
「それで、おとーちゃん? オリバーは今どこで何をしているんだい?」
「誰がおとーちゃんだ……オリバーの現況など、私も知らん」
「はぁん、まったく……最近の若者は薄情だにゃあ。君達、幼馴染みで親友じゃなかったのかい。それにしても、オリバーも困ったやつだよ。こーんな可愛い妹一人に働かせて、自分は自由気ままに大陸中を遊び呆けて回っているなんてさ!」
「兄は遊んでいるんじゃなくて、豆の買い付けに行っているんですよ」
ブラックコーヒーをウィリアムに手渡しながら、イヴは苦笑いを浮かべた。
一切の手間を惜しまず、じっくり丁寧に拵えるイヴを眺めるウィリアムの眼差しは、それこそマンチカン伯爵家のジュニアがちびちび飲んでいる──こちらも猫舌である──カフェモカくらい、甘くなっていた。
その横顔を生温かい目で眺め、マンチカン伯爵が口を開く。
なお、王子に対する横柄な態度が許されるのは、彼が初代国王の親友で、その黎明期を支えた忠臣でもあったからだろう。
「それで、おとーちゃん? オリバーは今どこで何をしているんだい?」
「誰がおとーちゃんだ……オリバーの現況など、私も知らん」
「はぁん、まったく……最近の若者は薄情だにゃあ。君達、幼馴染みで親友じゃなかったのかい。それにしても、オリバーも困ったやつだよ。こーんな可愛い妹一人に働かせて、自分は自由気ままに大陸中を遊び呆けて回っているなんてさ!」
「兄は遊んでいるんじゃなくて、豆の買い付けに行っているんですよ」
ブラックコーヒーをウィリアムに手渡しながら、イヴは苦笑いを浮かべた。