インハウスローヤーは私を妻にして専務になりたいだけ ~なのに待っていたのは溺愛でした~
「楓――っ!」

母の叫び声が聞こえる。
ああ、私死ぬんだ。

「What?」

刹那、何か温かいものに包まれた。がっちりと抱え込まれたまま、身体がどこかへ飛ぶ。そのままぐるぐると何度も回転し、止まった。

「楓!」

母の声が聞こえて、死んでいないのだと気付いた。

目を開ける。私は地面に倒れ込んだ、長い黒髪をポニーテールに束ねた見知らぬ男性に抱きしめられていた。

「君、怪我はないか?」

何を言われているのか分からず、首を傾げる。

「あー……、Are you hurt?(怪我はない?)
No(いいえ)

言えば、彼はほっと安堵の息をついた。

「楓!」

母が名前を呼び、こちらへ掛けてくる。

Where is my daddy?(パパはどこ?)
Umm...(えっと…) He is there(あそこよ)

母は伏し目がちに振り返る。その視線を追い、ドクンと心臓が厭な音を立てた。突っ込んできたトレーラーの下に見えるのは、父の着ていた一張羅。けれど、それは下半身だけで。

Why...(何で…) Oh,my...(嘘でしょ…)
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