インハウスローヤーは私を妻にして専務になりたいだけ ~なのに待っていたのは溺愛でした~
母は流暢な日本語で、私を助けてくれた男性にひたすら頭を下げていた。
救われた。その時は、そう思った。

けれど、私は救われてなんていなかった。

父の事業を買収するために、母は日本の老舗電気機器メーカーであるShiiba社の社長と再婚した。父の残した事業を守るためらしい。私は椎葉(しいば)姓を名乗り、日本で暮らし始めた。

新しい父は子育てに無関心で、母は治らない病気を発症し入院。大きな御屋敷にいるのは、私とお手伝いさんと、二歳年下の血の繋がらない妹・渚紗(なぎさ)だけだった。彼もまた、娘を持ちつつ妻に先立たれた人だったのだ。

渚紗は自信家で、何でもできてしまう。美人だし、華もある。地味で引っ込み思案で、中途半端にイギリス人の血の混じった顔の私とは全然違う。
そんな彼女は元々私へのあたりが強かったけれど、そういう性格なのだと仕方なく思っていた。
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