インハウスローヤーは私を妻にして専務になりたいだけ ~なのに待っていたのは溺愛でした~


死んでしまった者は、遺された者のことをどうにもできない。遺された者は、遺された者として生きていかなくてはならない。

まるで私は、おとぎ話の悲劇のヒロインのよう。けれど、現実世界にハッピーエンドが用意されているなんてあり得ない。

あの時、私も死んでしまえば良かったのに。
あの人が、私を助けたから――。

長い黒髪を後ろで束ねた、ポニーテールの日本人男性。彼は、私をこの世に引き止めた、悪魔だ。

命を救ってもらったのに、こんな風に思っては不義理だと解っている。
けれど、現実に生きている私は、そうやって名前も知らない彼にそういう感情をぶつけることでしか、私は自分の心を保てなくなってしまった。


そんな自分が、愚かすぎて嫌で仕方ない。
それでも私は、生きていかなければならない。


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