まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 馬車の中で酔わないのか心配になってしまうが、ゼファルスは膝の上に立派な革表紙の本を広げて読んでいた。
 早朝に起き出して剣術の訓練をしてから馬車に乗り込んだアクィラは、早起きの結果か今はすっかり眠り込んでしまっている。

「テティ、僕の顔に何かついてる?」
「ゼフにいさま、きもちわるくない?」
「ああ、馬車酔い? 大丈夫だよ。そうならないように、事前に魔術をかけているから」

 馬車に酔いにくくなる魔術があるなんて知らなかった。この世界には知らなかったことがたくさんあるなと思いながら、テティウスは「そうなの」とうなずいた。

「ナビ子しゃんも、ゼフにいさまみたいなまじゅつかけてるの?」
「かけてないわよ。そもそもアタシは酔わないから」

 テティウスの隣に座を占めたナビーシャの背中に手を置く。もふもふとした柔らかな毛並み。いつまでもいつまでも撫でていることができそうだ。
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